文 / 町田哲也 日が暮れはじめ臑まで田に差し泥の滑りをようやく艶やかに感じ取
文 / 町田哲也 ゆっくりと徐々に小さく消えてしまってから一旦時を止めてゼロか
文・写真 / 町田哲也 樹々の幹先から中程までが大きく揺れ重い風が乗ったかと見
文 / 町田哲也 まだ闇を混ぜ砕く粒音が頭蓋を震わせる墨中景薄ぼんやりと揺れて
文 / 町田哲也 長いソファの両端に女は膝に両手を置いたまま背筋を伸ばし微動だ
文 / 町田哲也 去年よりも季節が早く到来したのか自分の軀がいよいよ老いたのかそ
文 / 町田哲也 牛蒡の根を銜え横腹の痛みを堪える男は二つ谷向こうに下った山崖に
文 / 町田哲也 遠い時の向こうに顎を寄せ頭骨が髪生際の皮膚を薄膜へと骨を透かし
文 / 町田哲也 乾いた汚泥が脛から膝に残り皮膚か地熱かわからぬ残闇の冷気との熱