「未来」 ー放たれた鳥はまた再び此処へー

文 / 三船ゆい

夜は静かにやってくる
誰一人として残さず
明けることのない夜
重く深く染み込んでいく
幾多の希望ある言葉とて
すでに傷んだ食物の様に空回り
「明けない夜はナイ」
抗えぬ秩序と法則
どんなに手を尽くしても悉く
貴方の最善を尽くしても悉く
滑稽な操り人形
夜は静かにやってくる

しかし、何も恐れることは無い
闇を迎えるその時は
緩やかな旋律に耳を澄ます様に
空想の幕を開けるがいい
目を閉じて
その身を世界に投げ出して
肉体を離れよう
何処かにきっと
誰かの真実が
朝を告げるトランペットの如く鳴り響き始めるだろう
夢の中へ

気が付けば
ただひたすら前を向いて歩く 日常の中にあって
過去を取り戻すように
1日1日を積み重ねていた
あれほど探し求めていた
明日の光は
目の前の小さく無抵抗な子羊達の瞳の奥にこそ
映ってみえるのだった
夜明けもまた静かにやってくる

その瞳は見つめている
愛の結実

ーfamilyー
貴方は最善を期待しながら
最善を尽くすだろう
明日の光は
貴方を見つめている
世界を見つめている

三船ゆい Yui MIFUNE
1972年生まれ
長野県山ノ内町在住 自営業