文(詩) / ナカムラマサ首
土手の上で眠りを引き摺り
川を渡る快速電車をただ眺め
表面をめくっているのは不毛の時間軸にぶら
下がる据えた香りの
家なき中年
めくっても表面
めくっても表面
諦めの関係を差別するなら
剥がす破るは目前を包むオブラート
稚拙の池をバタ足する自由人気取りのわたしは安心仮説の上を蔓延っていよいよ社会的
気付いてないかもしれない
けれども
うぁんうぁんうぁんうぁん
と
ほうちきがなっている
違う
気付かないフリをして快速電車に運ばれるのが灰の色した空天井下の七時四十五分を繰り返す仕組み
青天井の家持つ川の住人が昨夜汚水を浴びて肺をこじらせ線路のベッドで震えて眠っていたところ朝の快速電車に轢かれて離ればなれの肉のかけらとなったら
時間を気にして無関心を顔に貼り付けた社会人たちの優越感はすくすくと育つ
ありふれた風景
移動する箱の中で
少なくとも自由のわたしのつもり
隣で
顔に大きな痣を持つ女が
よろめいた
つもりを轢きたい私の発芽があります
気付いたら
がんじがらめになっている
これもありふれた風景
その外側
鉄橋下の少女は
処女の脱却に感傷の暇無く
ひたすらに前を向いて足を出し続ける
ひとつの正解のあらましは
清く正しい阿婆擦れの道
鉄橋の下で
雨を乗せた知らない草を見つめた
川の住人の下で
夜のわたしを入れた快速電車の走る下で
わたしの勝手な憧憬
ただの表面
表面に放火するのは
阿婆擦れの思うところ責任量
炎のオレンジ色に飛び込む
家なき中年のからだ
不毛が燃えてゆく
清く正しい阿婆擦れの頬を照らす
オレンジの色素は
傷んだ神経を修復してくれるか?
ことばが生まれる時間帯です
「動かない日常の中に溶け込んでいましたが焼き殺したい欲望がこころを安らかの場所に誘ってくれましたどうもありがとうおせわになります早速視界がふわりと浮かびましたあの人たちを燃やす色温度が見たいから元気が湧いてくる今朝の肌寒さが嘘みたいに常夏」
知らないわたしは
往復している
ナカムラマサ首 Masakubi Nakamura
1976生まれ 兵庫県出身・東京都在住
ステンドグラス作家・画家
1998年 神戸芸術工科大学 芸術工学部 視覚情報デザイン学科中退
2003年 多摩美術大学 造形表現学部 映像演劇学科 卒業
都内にあるステンドグラス・デザインガラス制作会社勤務を経て2015年の秋頃からステンドグラス及びとドローイング作品を主体とした制作を始める。
平行して自身のステンドグラスとドローイング技法を生かした受注制作等も行う。
info@variantvox.parasite.jp
http://variantvox.parasite.jp/index.html
今後の予定:
「ちいさなアート展 2017 New York」2017.10.26〜10.29/11.4〜11.5 @ Studio 34 Gallery(ニューヨーク)
「たいせつなもの展」2017.12.8〜12.22 @ 靖山画廊(東京・銀座)
※ナカムラマサ首は現在、来年開催予定である「シンビズム展」での大規模な展示を目指してクラウドファウンディングに挑戦中です。
是非「CF信州」内プロジェクトページをご覧の上、ご賛同いただける方、ご支援よろしくお願いいたします(10/18まで)
CF信州内プロジェクトページURL:https://cf-shinshu.jp/project/detail/247
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