溶け合って(受胎告知)-女性であるがゆえにー

文 / 三船ゆい

客体であり、主体であるアーティスト
アーティストは表現者でありながら
同時に五感を持った受けてでもあります

神ではなく「人間」なのです
生を受けた「人間」なのです

アーティストが(お客)として その地を訪れ
土地に住む人(主人)には、あたりまえになり過ぎて視えなくなったもの達を 
その肌で視る

水田を見下ろし 積み上げられた曲線から
風が削り取った地形の過去を訪ね歩く
水面の波 伝播する記憶
風を 自然を そこに生きる人の営みを・・・
そして自分の言葉に集約し   繋がりを求めて飛躍する

視えないものを視覚化しよう
貴方にも見てもらう為に
私が感じたものをありのままに
どうか貴方に届きますように

造らずにはいられない 触れずにもいられない
私が受け止めた風は
なんて痛々しく荒々しいんだろう

これ以上に何かを差し出せと?
空腹の神へのいけにえ
吹き荒れる涙の嵐 数々のガラスの破片
産まれ生じさせるに充分な生(せい)を秘している

反転、私の唯一の手段
潔くも赤裸々な分身を魅せることだけ
それぞれの志は願う 私一人でたくさん
悲観している訳じゃない
とても緩やかな 時の河
「人間」が産み出す
最も汚れのない果実

色、形、素材の根拠、空間のすべてを
自らの技術と知恵を感じるままに
大胆に 素直に おおらかに
頭も体も投げ出します

私は「人間」だから そうして形を創造するのです
言葉を超えたメッセージを届けるために

三船ゆい Yui MIFUNE 1972年生まれ
長野県山ノ内町在住 主婦