煙草と大福

文 / 大谷祐

街なかに
しゃがんで
煙草をふかしている
きみ

街なかに
しゃがんで
大福をほおばる
きみ

おなじかたちの
きみのなかに
まったくちがう
きみがいた

煙にまみれていく

粉にまみれていく

向けられた瞳は
見透かすように
口に含まれ
消えていく

純粋と純粋のあいだにある
きみの輪郭を
そっとなぞって

大福も煙草も
きみの指のなかで
愛撫されて

大谷祐 Yu Oya
1989年群馬県生まれ
詩人
oya-u.com