文 / モリヤコウジ
私にとって額縁業というのは天職だと最近あらためて実感。
美術館やギャラリーにあしを運ぶ人たちは作品を観にいくわけで、そこでは額縁は完全
に脇役に徹せられる。作品は強い自己主張でそこにいるが、額縁は何も言わず、邪魔に
ならない様にそこにいるだけでいいのだ。
ギャラリーという箱も、そんな額縁のような役割を持つものであり、真っ白な全く何
の主張も無い空間が主流なのにも納得できる。
しかし、FLATFILEのギャラリー空間は全くの逆で、そこは古い長屋を少しの手直し
で済ませたがゆえの異質感がある。特に2階に関しては強い主張がある空間に思える。
100年前からある建物が持つ歴史が感じられる古い壁紙が剥がれ落ち、天井も低く、
薄暗い異空間。時に作品を殺してしまいそうな空間なのだ。
しかし、そこで飾られる作品はどれもその空間に融合し、調和している様に見える。
作品x場所=新しい作品として生まれ変わっているかのように。
もしかしたら額縁と作品にもそのような関係が生じる事もありえるのではないかと改
めて思う。作品/場所/額縁。それを実験出来る場所が私にとってのFLATFILEなのか
もしれない。
モリヤコウジ Koji Moriya 1974年長野市生まれ
1998年よりNYにて11年滞在
2010年長野市にFLATFILEを開設
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