文 / 大谷祐
大好きなのは、厚切りのトーストをのんびりと頬張ることです。
休日。ほんの少しだけ遅く起きて、ゆっくりからだを目覚めさせてから、朝食をつくります。
厚切りのトーストを軽く焼いて、ベーコンエッグに、季節のジャムとチーズ。コーヒーは重すぎない深煎りのもので、できればブレンド。厚切りのトーストはほんのり香ばしく、なかはふわりとほどけていく。バターは少しだけにします。小麦の邪魔をしないようにそっとのせます。
これを頬張る(なんという幸福感)、まさに休日っぽいのです。しかものんびりと頬張る。(なんという幸福感)
卵は半熟より少し手前。黄身をフォークでつつくと、とろりと流れるけど、すべてに広がらない程度。ベーコンはなるべくカリカリに。(これがむずかしい)
前の日に、飲み過ぎたり食べ過ぎたりしていなければ、ソーセージやサラダもあってもいい。でも朝は物足りないくらいが調子いい。
お腹にわりと余力があるときは、ヨーグルトもわるくない。フルーツをいれるのも好きだけれど、ジャムをいれるのが好き。
冷たすぎないヨーグルト。
食後に、ストレートのコーヒーを飲む。明るい酸で、ほどよく粘性のあるもの。
こんなふうにして、食後のコーヒーを飲みながら、あれこれと考えたり考えなかったりする。
ほんとうは、近所に行きつけのカフェがあれば、そこで優雅に朝食、がいいのだろう。
でもこんなふうに、いつもよりゆるりとした朝食もたまらなくいい。
ほんとうも、へったくれもないのだし。
たとえそれが現実にならなくても、休日にゆとりのある朝を迎えることはできる。
いつだって朝食ほど、明るい食事の想像はないだろうから。(想像だけだとしても)
それが、シリアルとオレンジジュースでもかまわない。
のんびりとすればいい。
大人の朝食は、わがままなのだ。
大谷祐 Yu Oya
1989年群馬県生まれ
詩人
oya-u.com
|