文 / 今井あみ
発した言葉に違和感を覚えて、
はじめてそれがウソだと気がつく
最初から偽るつもりで発した言葉は、
実は、偽りじゃなかったりもする
立ったままサラダを口にかきこんで
そしゃくしながら
目の前にあるツララをグーでパンチしていって
全部ぜんぶ落としてやった
あいかわらず笑いのツボが一緒だから
歯がゆかった
今度こそ怨念をwi-fiでとばしそうだったから、
その代わりに「ありがとう」って言った
そのまま食べて欲しいなんて、あんまりかな
水耕栽培でもないくせに
そうして私はもう一度
水と空気の境目をながめて
泳ぎだす
クワガタをつついても動かなくなったとき
秋が終わる
秋は終わっちゃいない
冬になっただけ
冬は始まっちゃいない
秋の延長なだけ
終わってない、始まってない、つづいていくだけ
あなたはこれを「壊れた」って言うけど
私はこれを「愛おしい」って思うんだよ
上と下
頭が上で、足が下
天地無用で荷物を送ったら、
天は上で地は下で、
地球は丸いから、
地球の裏側へいったとき、
日本から届けた荷物は逆さまにでもなるんだろうか
地球の裏側の人は、
頭が下で、足が上ってことになるんだろうか
そしたら、全部ぜんぶ逆さまだ
そんなことにはならないよ
地球の裏側へいったら、
また同じように、頭が上で足が下になるんだから
どこにいっても天は上で、地は下なんだよ
だから、だいじょうぶ
それから、あの人よりも私の方が前に進んでいるなんて、
地球は丸いから、
前に進み過ぎれば、最後尾ってこと
そういうこともある
だから、だいじょうぶ
空が泣き止んだあと、
「今日は三日月だね。」って言われたから、
「欠けている月のかけらはどこにいったんだろうね。」って言った
「ただ見えていないだけだよ、今日はね。」って月が教えてくれた
「照らされたら見えるよ。でもね、照らされなくたって、見えなくたって、僕はいつもここにいるんだよ。」
自ら輝いているものに人はあこがれを持つけど、
照らされて反射させるものがなければ、自ら輝いていることに気がつかないんだから
ヤドリギはあなたの栄養をすこしもらって、今日も生きている
だからせめて、
おめでたいことがあった人に
「おめでとう」って言えるくらい
自分もしあわせでいよう
今井あみ Ami Imai
1990年長野市生まれ
表現するひと
表現することをつづけるべく、毎日を過ごしています
imaiami1990@gmail.com
imaiami.net
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