夢日記

文・絵 / 徳永雅之

「最後の食事」2016/2/6

最後の食事_S
何人もの人たちと家族のように暮らしている。ある日早い時間に起こされた。外では雨が降ってるようだ。僕以外の人たちはすぐにでも外出出来るような姿をしている。コートを来たりお化粧をしていたり。昔の、外国の人のような出で立ちだったが、顔は日本人。時計を見たらまだ午前4時台。どうやら僕以外は皆、この後ここを出ていくようだ。最後の晩餐よろしく豪華な食事がテーブルに並んでいて、皆立ったまま無言でそれを眺めている。僕はその後また眠ったのだろうか。目を覚ましたら部屋はもぬけの殻で誰もいなかった。

「荒野の銭湯」2015/11/7

銭湯_S
友人達と九州を旅行中に立ち寄った銭湯は所々に雑草が生えている広々とした空き地の中にあった。番台だけは母屋とは別で、屋外にぽつんと建っている。入ろうとしたら、番台に座った中年の男が困ったような顔をしながらこちらを見て言った。「あんたは…ちょっと難しいな…。顔が…濃い…からね」どうやら僕を外国人と思い込んでいるようだ。これは差別だ。この男は外国人を自分の銭湯に入れたくないのだ。それにして番台の男の顔立ち。丸顔で、眉はもう少しで繋がりそう。目は切れ長だが、まつげは相当長い。顎の周りは生えかけのひげが青々としている。どう見ても僕より濃いではないか。面白く無い。周りに聞こえるような大きな声で「九州では顔の濃い男は銭湯に入れてもらえないんですか?」と言ってみた。男は無言で番台を降り、こそこそと裏に回った。どうせ、中にいる奥さんに相談しにいったに違いない。

「きゅうり」2015/10/27

きゅうり_S
きゅうりはずっと収穫せずに植えておくと、これ自体が茎となり、多肉植物のように横から肉厚の葉が出てくることを知った。

「橋の上を泳ぐ人々」2015/8/31

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大きくて長い釣り橋。橋の上は川のようになっていて、僕はモーターボートを飛ばしている。大勢の人が橋の上の川を泳いでいるので、こんな所を通ったら泳いでる人達にぶつかってしまうのではないかと怖くなってきた。

「野外展示」2015/8/17

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東北にある美術大学で屋外展示のイベントが始まったばかりなので、展示会場の山に行ってみた。布をハンガー状のパイプに垂らした大きな作品が並んでいて、川にかかる橋の両側に展示されている。布地の白に黄緑やオレンジ、ブルーなど蛍光色に近いような明るい配色。光が透過して美しい。沢山の人が関わったプロジェクトらしかった。その橋を渡ったところに、丸太を使った作品があった。岸から川に向かって伸びた丸太の橋は、途中から川に浸かっていて、その上を歩いてゆくことが出来るらしい。丸太の橋を歩いてみた。途中から先に進むには水の中に入らなければならない。「気持よく中に入るには靴下を脱ぐべきだな」隣りにいた女子学生の顔を見て、そう言いながら僕は靴下を脱ぎ、水の中に入っていった。その女の子も靴下を脱いで水の中に入った。天気のせいなのか、周りが木々に覆われているせいなのか、外は薄暗い。 
 野外展示2_S
まだ幼児の男の子が岸から10メートルほど先に居て、川の中で腹ばいになり、その先をじっと見ている。彼の近くまで歩き、そっと追い越した僕に彼は気づいた。溺れてはいけないと思い、その子を岸に連れて行った。再び橋を渡り、川に入った。そして僕はさっきの男の子のようにじっと水を見ていた。川は波も立たず、とても静かだ。
 川の中にテーブルがあり、沢山の人がテーブルを囲んでいる。僕の隣には友人がいる。代表者は僕とは一番離れたところにいて、これから飲み物を注文するので何がほしいかと、その場にいる僕らに聞いている。これから水に浸かった状態で会議か、パーティがあるらしいのだ。友人に向かって、「これならトイレに行きたくなってもそのまましちゃえばいいよね」という冗談を言おうとしたが、やっぱり言わないことにした。

「水銀の海」2015/6/3

水銀の海_S
ここは千葉?それとも気仙沼だったか?どういう理由だかわからないが、美術予備校で一緒だった女性の住所を手に持って、これから彼女の家に行かねばならないようなのだ。小さな自動車を運転して知らない街へ。地図でこの先が海だとはわかってはいたが、ある所を過ぎると、小さな港のような風景が現れた。まだ夜ではないはずだが、暗い空、暗い海だ。カメラを持って歩いていく。急に巨大な波が襲って来た。水銀のような光沢を持つ飛沫は良くないものが大量に混ざっているのだろう。波を少しかぶってしまった…。もう少し下がって重たそうな海を写真に撮った。 CGで描いた北斎のあの絵のように、水銀の波は不気味な形をなして再び襲ってきた。

「ジェフ・ベック」2015/3/30

友人達とジェフ・ベックのコンサートに行った。日本の映画とタイアップした演出だったので驚いた。しかもアイドル絡みだ。ステージの横でいきなりリハーサルが始まった。気が付くと僕らが座っていた席がステージの上に移動。そこはギターの運指がよく見えるのか、友人は「私のための席だ」と喜んでるが、僕は移動する前の正面に近い席のほうが良かった。ジェフはそのまま演奏できる高さにセットされ、円環状に並べられた沢山の黒い銃のようなギターを、端から順に移動しながら弾いた。

「ライフル持って」2015/3/13

僕はなにか悪いことをしたのだろうか。誰かに追われてる。盗んだライフルを持って、時々追手を威嚇する。目で確認できる追手は大体が友人だ。当たらないように、周りを狙って威嚇射撃。僕は追手から撃ち殺されるかもしれない。いい加減、もう逃げまわることに疲れてしまった。「どうせ、誰かに撃たれてしまうんだ」と物陰に隠れることもやめた。何人かの友人がビルの外に見え隠れしているのに攻撃してこないので、なんだか彼らに見守られているような気持ちになっていった。

「川の中の猫」2014/12/28

川の中の猫
友人と川にかけられた橋を渡っている。周りは木々に覆われ、緑色の光で溢れている。ほとんど流れを感じない浅そうな川は、歩いて渡ることだって出来そうだ。丸太で作られた橋は川面に半分浸かっているようにも見えた。橋を少し渡った時、川に何かが刺さっているのに気付いた。少し大きめの猫が描かれたお面のようなものが流れに沿うように横向きになっていて、半分だけ顔を出した目がこちらを見ている。友人が「猫が埋まってる」と一言呟いた。

「残されたイラスト」2014/11/10

彼が生きてる時に友人に宛てて送った緻密なイラストは、大きなペニスが三本ついている下半身の絵だった。それは彼の理想だったのだという。絵をその友人と見ながら「三本あればセックスする時、ずっと気持ち良くいられると思ってたのかな」などと話した。

夢日記「小さな赤い玉」2014/4/20

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広いTVスタジオのようなところ。その半分ほどのスペースは、どこか懐かしい感じの町のミニチュアだ。バックのホリゾントには空に浮ぶ雲が描いてある。僕はミニトマト位の赤い塊を、模型の町に立っている少女の方へ、彼女に気づかれないように他所を見てるふりをしながら上手に飛ばしている。親指と人差し指を使って指を鳴らすような動きで飛ばすのがコツだ。赤い玉はミニチュアの街のどこかではじけ、風船のようにバウンドしながら街の中を転がる。女の子はそれを捕まえようとする。僕は飽きることなくミニチュアの町の少女に向けて何度も 赤い玉を弾き飛ばすのだ。

「作品資料」2014/3/4
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絵画教室に作家のKさんがヌードモデルとして来てくれた。
彼は怪獣が大好きで、普段は円谷プロで働き、東映に出入りしているそうだ。
休憩時間にそのような事を生徒さんと話しながら、Kさんの作品資料を見せてもらっている。30cm×20cm×3cmほどの薄い箱のようなもので、作品資料はその中に巻物のような形で収納されており、手動で動かしながら観て行く。中のローラー部分が固く動かしにくいので、小さなフォークを画面に引っ掛け、送って行く事にした。延々と進めても、ややグレーがかった淡い黄緑の画面は一向に変化しない。そのうちこれはとてつもなく横に長い作品なのだと気づいた。
フォークを使ったりしてはいけなかったのだ。

徳永雅之 Masayuki Tokunaga
1960年 長崎県佐世保市生まれ 埼玉県桶川市在住
画家
hotrats_@mac.com
http://www.tokunagamasayuki.com/