わたしの朝ごはん

文 / 今井あみ

歯をみがく音
顔をあらう音
目覚ましが止められず なりつづいている
トイレの水をながす音

ようやく 止まる

「行ってくるよ」って声
カギをかける音
はなれていく足音
ぜんぶぜんぶ耳を澄ませて味わう
わたしの朝ごはん

胸に耳をあてて 心臓の音を聴く
動いている
鼻の穴に指を突っ込んで 着ているTシャツにこすりつける
ほっぺたをさわる くちびるをさわる ぺちゃんこになった髪の毛も
足のゆびと土踏まずがすき

疲れたときに帰る場所

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小汚いアパートに住んで
ドロドロに腐った排水口に三角コーナー
住んでいる人まで腐ってしまいそうなのに
小綺麗な人がでてくる
あぁ 人間も汚いものを浄化しているんだなって

ここには何もなくて
風景はスッキリと広がっている
不安になる
また 元の風景に戻るのかって

すべて終わらす
すべて枯れる
水面下で越す
ドロドロで汚い池

花がとても綺麗
蓮のはなし

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こころはどこにあるんだろ
全身にはりめぐらされているんだろうか

うずくまる人の居る空間に
ただ ひっそりとわたしが居る

今井あみ Ami Imai
1990年長野市生まれ
表現するひと・社会人

2015 11/21~12/19 「紙と鉛筆」 @FFS_lounge gallery