日記(2015年11月20日)

文 / 疋田義明

 何ともなく穴2つ空いた紙を見ていると、微かに光るくねくねとした線が走っているのが見えた。線を辿っていくと穴に繋がっている。穴に目を近づけると断面は凸凹といくつかの層を作って削れていた。また線は紙の上をくねくねと穴と穴を繋いでいるようだ。どうやらナメクジが粘液を残して這った跡のようで2つの穴は食べた跡らしい。
 ナメクジはどこから来て どこにいくのだろう。
 突拍子も無く現れては粘液の線を残して死んでいく干からびた姿を見るたびに思ってしまう。
 ただ、紙に空いた2つの穴の凸凹とした断面は、ナメクジの小さく並んだ歯を想わせて少し生々しく生きて姿を感じられるようだった。

疋田義明 Yoshiaki Hikita
1992年長野市生まれ
画家(無職)
2015年武蔵野美術大学油絵学科卒業
za486ztch4vc7v7mm6cu@dokomo.ne.jp

2015 11/21~12/19 「紙と鉛筆」 @FFS_lounge gallery