文・写真 / 船橋小夜子
自宅のアパートはベッド付近に小さな窓があり、隣は家の壁なのだが、横になるとちょうどその窓から空だけが見える。
晴れていると、月が顔を覗かせる。
一日の終わりに嬉しい瞬間だ。
疲れて穴だらけの頭でぼんやりと思う。キレイだな。
今日は曇りで、グレー1色の抽象絵画。の予定が偶然にも雲間からこれまたぼんやりとした月が現れた。
窓は絵画なのか、絵画は窓なのか。雪見障子って素晴らしい文化だな。自宅にはないけれど。生活の中の美とはこういうことか。
と、ふわふわ思いながら、寝ながら鑑賞という贅沢を満喫する。
広大な空を決められたいつもの一枠で切り取る(しかないのだが)。
動かせない絵画は、ゆったり変化するが、こちらの意思は反映されない。カーテンやデコレーションはできても、あくまで主導権は窓である。額縁が小さいほどその恐怖はじわじわと増幅してゆく。人が作ったものなのに、手を加えることができない、もどかしさにも似た怖さ。
今日も映像作品を見ながら、いつの間にか夢の中に入る。
船橋小夜子 Sayoko Funabashi
クリエイター
1984 青森県八戸市生まれ
2009 桑沢デザイン研究所 卒業
モバイルサイトデザインを経て呉服店勤務
misacaramel.g1@kanto.me
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