ドラムサークル

文 / 塩津知広

 ありがたいご縁をいただいて、今回拙文をみなさまに読んでいただける運びとなりました。私の活動のひとつ、ドラムサークルについて、しばしお読みいただきたいと思います。

 私がドラムサークルをみなさまに届け続けるのはなぜか、それはこの活動が「(みなさまも私自身も)胸をはって自分自身であるための最適なツールのひとつ」であると思うからです。昨今のような時代に、「自分自身で在る」ことはとてもとても大切なことだと思います。※こういう命題に対しその時々で言うことはちがってしまいます。まだまだ勉強中の身でありまして不徳のいたすところご容赦ください。

 ドラムサークル、それは端的に言えば「打楽器をみんなで鳴らす〜その場の音と空間と時間を全感覚を使って楽しむ」活動です。そのことにより、日常では(どちらかといえば)覆い隠されているような感情や表情をあらわにします。それは多くの場合”喜び”に近いものであるようです。達成感や充実感、リラックスした気持ちや演奏に集中し続けるさま、のようにカタチはいろいろですが。そして、それらどれにも共通するのが「あくまでも、自然に、自主的に、自らの欲求により」起こっているということです。

 私が指導者や指揮者のようにふるまえば、その場で連なる音は決して私の実力の範疇をでません。それでは先に示したような「”喜び”に近い」感情は望めません。

 なので、たとえばリズムの型を提示する場合にも、そのエッセンスは、必ずそこに集った方々の出す音からいただきます。一瞬、ひとフレーズ、一音の響き、それらの重なり合い、それらを全体へ染み渡るように広げていきます。その結果、私などの想像をはるかに超えた音空間が生まれることも、決してめずらしくありません。

 私自身もその「自己から発現する”喜び”に近いもの」に触れて驚かされてまた”喜び”を感じている、もちろんその場に集った方々みなさまがそれぞれに”喜び”を感じている、自分の全感覚がいま躍動していると実感する、自分自身がここに生きている、その空間と時の流れこそがまさしくドラムサークルのめざすところです。

 カタチとして残らず次の瞬間には過ぎ去ってしまうドラムサークル(そしてその目的)ですが、まさしく”芸術(アート)”ととらえての活動に広がりつつあります。許されるならば次回はそのお話をさせていただきたいと思います。

 拙文、駄文、お読みいただきありがとうございました。

塩津知広 TOMOHIRO SHIOTSU 1965年福岡県北九州市門司区生まれ 長野県長野市在住 音楽講師 
1990~音楽教室講師として活動開始
2006年~「ドラムサークルながの」発足
drumcirclenagano@gmail.com
URL ドラムサークルながの