ピアノレクチャー

文 / 鎌倉幹訓・斉藤正次 (連名)

 どのくらい前からでしょう?子供の習い事の一つに、ピアノが挙げられるようになったのは。
ピアノレッスンに使われている教材は、時代と共に増えており中身は多種多様です。
レスナー(指導者)も模索しながら使用していますが、自身が使ったことのある教材や定番といわれる教材に落ち着く傾向にあります。 もちろん、「よりよいレッスンを」と考え、新しい教材に関心を持ち、その使い方を積極的に学ぶレスナーも多くおられます。
以前より使われている教材には良質な物もあり、それらは馴染み深いものですが、生徒や親の世代が移り変わるとともに求められる、スキルや指導法も変化しています。 乱暴な表現かもしれませんが「レスナー=メーカー」、「生徒=ユーザー」としたとき、「ユーザー」の嗜好が変化する中で、はたして「メーカー」の都合は通用するでしょうか?
レスナーの後ろには必ず生徒(子供達)がいます。子供たちと限定すると、日本の出生率は70年代後半を境に減少し、現在半分に近いともいわれています。児童数が減少している中、大手・個人それぞれのピアノ教室でも生徒数の減少といった悩みをよく耳にします。
一方でレッスン枠が一杯のため、受け入れできない個人レスナーの教室があるのも事実です。
「学校に近いから」とか、「新興住宅地だから」等といった地理的要因と分析している方もいますが、その様な理由ではないようです。
保護者が望んでいるのは、子供が一年でも長く、そして楽しくレッスンを続けてくれることだと思います。
そしてレスナーに求められているのは、その子に合わせた、成長を感じられるレッスン。常に、その課題と向き合いながら、レスナーも試行錯誤を重ねています。
首都圏のピアノ教室と地方のそれとの間には、時差や温度差があり。「公開講座」(レクチャー)は、様々な教材の使い方・指導法を筆者自身が解説することです。
そこには、テキストだけでは表現しきれない、レッスンのヒントがあります。
「レスナーに新しい教材を、もっと知ってもらいたい。」「子供達が純粋に音楽を楽しめる様に。」その様な想いから公開講座を開催しています。
初めて講座を開催した頃、「小さなピアノ屋が、大手楽器店の真似をして何かやっている。」
というくらいな見方をされていましたが、現在それらは少しずつ変化し「次はどんなテーマ?」「○○講座はやらないの?」の言葉も聞かれます。
中には、当店企画開催したセミナーが首都圏で反響を呼び、シリーズ化されて全国各地で開催されています。
毎回のセミナーには、ある仕掛けを用意します。その一つが、オーディオルームの音場チューニングに使用されるサーロジック社のチューニングボードをホールで使い、「響」にこだわったセッティングをしたことです。
サーロジック社は長野県上田市に在り、全国のオーディオマニアから高い評価を得ています。このチューニングボードにより、まるでステージからピアノの音が「飛んでくる」感じになり、会場のどの席で聞いても、ほぼ差異が無く聞こえる音場となります。
セミナーの仕掛けにはもう一つのテーマがあり、それは「長野」という地方都市から、そして当店の様な小さな店から、メーカーや大規模店では出来ないことを発信していくということです。
結果、この地域のピアノ教育、音楽教育、芸術文化普及の礎の一端になればと願って止みません。
取り留めのない文章を、最後までお読みいただきありがとうございました。

斉藤正次 masatugi saitoh
1964年長野県松本市生まれ 長野市在住 ピアノショップポンド勤務 ピアノ技術者
市内ヤマハ特約店調律師を経て、2009年より(有)松本ピアノ輸送-ピアノショップポンド勤務。
コンサートチューナー
鎌倉幹訓 masakuni kamakura
1970年長野県小川村生れ 長野市在住
ピアノショップポンド勤務
2009年より(有)松本ピアノ輸送-ピアノショップポンド勤務
URL:www.matumotopiano.com