時間と距離と気持ち

文 / 小林愛枝

電車で松本へ行った。普段は車だが、駅前から駅前の移動ということもあり、電車を利用することにした。特急ではなく普通電車を選択。もしかしたら初めて乗るかもしれない。仮にあったとしても、記憶が無い。

片道1時間半。新幹線を利用すれば東京まで行くことができる時間である。ゆっくり走る電車の中で、のんびり考え事をしたり、本を読んだり、ぼんやり景色を眺めたり。穏やかな日差しと鮮やかな紅葉。何だかとても贅沢な時間。もっと乗っていたいと願う。

同じ1時間半でも東京までの時間は何だか気忙しい。新幹線の中では、気分が悪くなるので10分以上本を読むことができない。眺める景色も速すぎてよくわからない。早く着かないかなと乗るたびに思う。

速度と気持ちは比例しているかもしれない。
速いのは便利だけど、色々疲れる。
たまにはゆっくりと。

小林愛枝 Narue Kobayashi 
1984年生まれ 長野県長野市在住 
http://naruekobayashi.com