バス模型のススメ 趣味講座 其の二

model set by Kazuya Osame

写真・文 / 納和也

鉄道マニアは昔から市民権を得て、大々的に撮影、Nゲージ模型他多数のスタイルと共に
確立していました。
わたくしは幼少の頃からそこに違和感を持って不在の場所を求めて生きて来ました。
スーパーカーブームにも表向きには興味を示した振りをしながら実は隣の平屋建てに増築した二階部分に興味があり、またはトタン葺きの空き家がかっこよかったりといった感覚でありました。
おもちゃ屋に行っても電車、スポーツカーの模型はあるが隣の平屋建てに増築した二階屋、建築中の家、ライトバン、バスなどは皆無であった。
本当に満足できるアイテムは不在のまま時は流れました。
初めて自分に近い感覚の模型を購入したのは小学生の頃です。
Nゲージのアクセサリー的扱いの商店の模型と荒削りのバスの模型でありました。
それだけではどうにも飽き足らずペーパークラフトで地元川中島自動車の車両を精密に、作ったりしておりました。
要するに誰も興味を示さないものに惹かれる性分だったのでしょう。
だからおやじの古いカメラをもらって街を撮影しておりました。

僕は気が付くと路線バスに偏執狂的に興味を持つ人間になってました。

解る人には解るともいますが長野に住んでいる事は路線バス好きにとって桃源郷のようなものなのです。
解らない人には解るまい。
松本市の松電は貴重な「北村製作所製車体」と「いすゞのBUの高出力シャーシ10K」の組
み合わせ、伊那自動車は「長尺北村製作所製車体」と「いすゞのBXDの高出力シャーシ」
の組み合わせ。そして千曲自動車には日産ディーゼルの4R、最後に長野市では全て「川崎重工製車体」にいすゞ、日野、三菱を乗せるという偏執的な車両が他県に比べてもとても多いのです。幼少の頃東京に行った時などは逆に一般的な路線バスに驚いたものです。
この趣向は電柱、ガードレール、道路、木、ブロック塀、など本当にどうでもよいものにカテゴライズされるでしょうね。
駅前で路線バスを撮影していると「何を撮ってるんですか?」とよく声を掛けられます。駅のホームでカメラを構えている人なら「ああ。。。」とそっとしておいてくれる形の物です。
あと女子高生、ギャルからは警戒され、挙句の果てには運転手から「何がよくてこんな物撮影してるんだ?」と笑われる事もありました。

そういう形で時は流れ模型の方に目をやると、2000年あたりから観光バスの模型が出始め、サイズはHOサイズと大き目、売れないだろうからコスト削減のためにポリストーン製でデカール仕上げといったものでした。値段も5000円と結構なものでしたが画期的でした。その後、京商からラジコン路線バスが発売されました。
HOゲージのジオラマの上を操縦するという面白いがまだNゲージ鉄道模型に比べると趣向
が異なる域でした。
2003年にTOMIXというNゲージの大手メーカーがトミーテックという子会社を作りそこで、ついにバスのNゲージ模型が発売されたのです。
体裁も鉄道と同様にケースもあり本体も精密極まりないものでした。
それと同時に街並みシリーズも発売され、誰も興味を示さない物の模型が続発されまして鉄道が不在でも成り立つジオラマが可能な状態となりました。
路線バスは鉄道同様道が線となります。
鉄道は線路がありますがバスは道路が線に該当します。
既存のNゲージのジオラマはあくまでも主体がありそれを惹きたてる為に風景を作ります
。しかしトミーテックの姿勢は風景そのもの、非主体でも成り立つジオラマを可能にしました。
実際にわたくしは幸いにバスのNゲージ愛好者となり色々試行錯誤しておりますが、バス
が主体となるジオラマはとても難しいものです。
バスは何台も走りある1台が主体となっては面白くないのです。(これはやってみないと解らない事でしょう)
営業所のジオラマも難題ものバスが自然に置かれているか、建物との関係など鉄道以上にシビアなのです。極論を言えばバスが無くてもバスがここを走っているのが感じられるジオラマでも可能なのです。
要するにこの地上にあるすべてのものが必要でその関係性を楽しむのです。
(次号へ続く)

納和也 Kazuya Osame クリエイター 1971年埼玉県熊谷市(旧妻沼町)生まれ