ひとんちの犬

犬男と犬/制作年;2015/素材;紙にドローイング/サイズ;257x364mm

文・作品 / 田中七星

我がスタジオ兼住居に「犬」がやって来たのは2018年12月下旬であった。東京郊外に佇む、高度経済成長期感バリバリに溢れる団地(5階建てエレベーター無し耐震工事前)育ちの私には、犬を飼う生活など今の今迄馴染みが無かった。野良猫は好んだが、ひとんちの犬は急に吠える感じが個人的に悪い印象だった。この「犬」は保護犬(ミックス/雄/6歳/体重3kg)で、着けていた首輪のIDによれば飼主は愛知県のブラジル国籍の人らしいが、埼玉県内の警察署に迷子犬として届けられ、捜査対象となったが飼主は現れずその後保健所行きになった。保健所に来た犬は直ちに写真情報公開され、里親募集を開始するが、現れなければ殺処分となるのが常であろう。この「犬」も例外では無かったが、運良く保護犬団体の人によって生きる道を得た。今夜も我犬男は寝言で犬話を使い、犬は寝言で人話を真似ている。お互い「いきものどうし」として存在を認め合う仲になれるだろうか。

田中七星 Nahoshi Tanaka
1977年東京生まれ・埼玉県在住
画家
2000年、武蔵野美術大学卒。2005年、Royal College of Art(イギリス/ロンドン)MA修了。2007年~2008年、Cite Internationale des Arts(フランス/パリ)滞在。2011~2012年、中国美術学院(中国/杭州)中国国費奨学生。紙にドローイングを中心に制作活動を行う。
nahoshi7@yahoo.co.jp
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