秋の四尺玉

ドローイング/2010/色鉛筆、クレヨン/18.2cm x 25.7cm

文・作品 / 田中七星

 2018年10月上旬、萱アートコンペ2018のレセプションに参加するためにRAUM戸倉宿(坂井銘醸)を訪れた。Webサイトでこのコンペの募集を知ったのがきっかけだった。西東京で育った私自身と長野県との縁は、特別密接なものでは無かったけれど、小学生時に通った絵画教室の先生の出身は上田市だったり、母方のお爺ちゃんの墓は今でも高遠町にあったり、親族の別荘がかつて軽井沢町にあったり、友人結婚式の付き添いで松本市を訪れたことがあったりと緩やかな縁を勝手に感じていた。展覧会場は醸造所であっただけに、建物自体の内外が既に想像力/創造力に満ち溢れ、この場で何かアクションを起こしたくなる気持ちが良く分かった。そしてこの土地にも創造活動における表現者、発信者、支援者が存在している事を知り嬉しくなった。今後また訪れる事があるだろうか。確かな事は分からないが 、気分の良い風が吹いて、秋の四尺玉が、軽トラックの荷台でタバコを吸っていた。

田中七星 Nahoshi Tanaka
1977年東京生まれ・埼玉県在住
画家
2000年、武蔵野美術大学卒。2005年、Royal College of Art(イギリス/ロンドン)MA修了。2007年~2008年、Cite Internationale des Arts(フランス/パリ)滞在。2011~2012年、中国美術学院(中国/杭州)中国国費奨学生。紙にドローイングを中心に制作活動を行う。
nahoshi7@yahoo.co.jp
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