日記(201711月20日)



文・ドローイング / 疋田義明

思い出しながら書きますこと。5階にある窓からは建物が小さく似たような色や形の四角くびっしり遠くまで並んでいるのが見えました。遠くまた少し遠いくらいに山がジグザグに線を引いたようにあって上に雲を乗っけていました。工事現場、ヘルメットをかぶった作業着の人達が動いていました。
部屋の中は生温くありました。宙ぶらりんになったように肉体について、近くにいる人のことのなかから切り取られているような少しまえの日々のことでした。

木の表面に絵の具を水を多く混ぜて薄く塗っていきます。湿った木の表面からは瑞々しく木の香りを拡げていました。少し薄くなりすぎた白い絵の具が、塗ってないかのように見えていました。
帰り道。暗く足下の沈んだ闇のところを自転車の小さく弱い光で走っていました。前方にうっすらと黒い影が見えますと、人であったり何もなかったりと近づくにつれて分かってきます。ひんやりとした闇の中で店の灯や車のライトが虫食いのように白くしていました。

疋田義明・Hikita Yoshiaki
1992年生まれ
長野出身
無職