西部警察じゃなくてやっぱ大都会でしょう

文 / 納和也

 1976年に石原プロモーションで初のテレビドラマがうまれた。「大都会」である。石原プロモーション制作、倉本聡脚本で固めて警察を舞台にしながらもそこに文屋の存在を大きく扱い製作者石原裕次郎は文屋、東洋新聞のキャップとして登場。常にパイプをふかし40歳とは思えない見た目50歳を超えている風情で登場。警察の文屋部屋では常に賭けマージャン。警察内で賭博である。こういうところが荒唐無稽で面白い。新人の文屋九条が「キャップはなぜ文屋になったんですか?」と聴くと「人に迷惑をかける記事を記事にしないように文屋をやっているんですよ」と答えた。文屋としてはありえないセリフである。渡哲也演じる黒岩刑事が犯人が人質を抱えて「撃つぞ」と叫んでいるときひるまずに犯人に近づいた。無事逮捕。でも一歩間違えたら人質は殺されていたかもしれない。文屋はこれを記事にし「警察の無謀な行為、一歩間違えれば人質はあぶない。その場の判断で犯人に強引に逮捕するのは警察のエゴではなかろうか」と翌日の朝刊に記事となった。警察批判、犯罪批判両方が組み込まれている。黒岩刑事は一言も語らない。
 大都会パート2に話を移そう。大都会パート2では石原裕次郎は渋谷病院の外科医として登場。僕個人として石原裕次郎の医者姿は笑える。手術後に黒岩刑事から煙草を差し出され「おーサンキュー」と手術服姿で病院内で煙草をふかす。ありえないだろー!それもやけに日焼けした石原裕次郎、それに身体がデカい。それで手術服、ケーシー高峰か?と突っ込みたくなる。シーンを再現してみよう。手術室のランプが消える。手術服姿で石原裕次郎登場。黒岩刑事が「どうぞ」石原裕次郎医師「おう、サンキュー、ほーらおみやげだ」と打ち込まれた弾丸の摘出したものを黒岩刑事に渡す。黒岩が「害者は?」と聞く。「まあね、全力は尽くしてみたんだがね。」取り調べは出来ますか?」「だめだ、まだ麻酔で眠らせてある」「お願いします」「黒さん、ここは病院ですよ、私はここでは一番えらいの、分かった?」「すみません、分かりました」しばし渋谷病院の看護師も含めて「ここは病院ですよ、やめてください」というセリフが頻繁に出没する。病院でもやくざとデカが殴り合いは当たり前。でもって西部警察では石原裕次郎は捜査課の部長になる。まずそこがつまらない。やはり病院で医師の格好をしてブランデーをがぶ飲みする姿は何より面白いのである。つづく