あいまいな夏の記憶

文 / 寺澤真佑美

 夏の記憶をたぐりよせながら描く、というのは初めてかもしれない。

 正直、夏は昔からあまり好きな季節ではない。苦手なものが多かったからだろうか。プール、夏休み、自由研究、花火の音(しかし、色は好き)、夏祭り。この季節の落ち着かない感じや、ざわつく気持ち。
 一番嫌だったのは、周りが楽しくしているなかで楽しめない自分のことだ。

 だがそんな中にも、忘れられない感情や見たものが、曖昧でぼんやりとしているけれど、ちゃんと残っている。白昼夢のような記憶もある。
 今ではそれらを美しく、愛しく感じている。
 こんなことは珍しいし、消えてなくなってしまうかもしれない。
 消えてしまわないように、消えないうちに。

 そんなことを思いながら描いている。

寺澤真佑美 Mayumi Terasawa
1984年生まれ
千曲市在住
アーティスト
日々の生活のなかでマイペースに制作している

2017年6月「NAF(nagano art file)ナガノアートファイル2017 ‐Art Show+art free market‐」FLATFILESLASH(長野市)
2017年7月4日~7月23日 個展 蕎麦料理処「萱」併設アートギャラリーBlanc(千曲市 戸倉)
2017年7月7日~7月11日 「ちいさなアート展 2017 Nagano」ギャラリー松真館(長野市 松代町)
2017年10月26日~29、11月4日~11月5日「ちいさなアート展 2017NewYork」
Studio 34 Gallery(アメリカ ニューヨーク)