写真タイトル: <極東>Far East SCULPTURE 皺のある正円 素材:日章旗 場所:伊那市富県 自宅
文・写真 / 北澤一伯
想定内の彼等。綺麗な言葉。美しい言葉。親切に自粛を促してくれる。つまり抑止力の使い方の達人である。
知識人で批評的でどこの町にも村にもいる。
一見、政治性から離れながら,優れて政治的で悪意を感じさせない。
時にはある程度に親切で人をつなぐ絆である。
『しずかな敵』という詩を書いた詩人石原吉郎の言葉から、長期にわたり、私は彼等に対し奇妙な観念をもっている。
彼等の理論が正義なら、私は不正義である。
彼等に知があるなら、私は無知である。
彼等が綺麗なら私は汚れている。
彼等が白なら私は黒である。
綺麗な彼等の貌。皺がある。
ふたつの孔もあいている。
彼等はかなり身近な悪質。
黒幕の群のひとりである。
主語のない彼等。
北澤一伯 (きたざわ かずのり)
1949年長野県伊那市生れ
発表歴:
1971年から作品発表。74年〈台座を失なった後、台座のかわりを、何が、するのか〉彫刻制作。
80年より農村地形と〈場所〉論をテーマにインスタレーション「囲繞地(いにょうち)」制作。
94年以後、廃屋と旧家の内部を「こころの内部」に見立てて美術空間に変える『「丘」をめぐって』連作を現場制作。
その他、彫刻制作の手法と理論による「脱構築」連作。2008年12月、約14年間長野県安曇市穂高にある民家に住みながら、その家の内部を「こころ内部」の動きに従って改修することで、「こころの闇」をトランスフォームする『「丘」をめぐって』連作「残侠の家」の制作を終了。
また、生家で体験した山林の境界や土地の権利をめぐる問題を、「境(さかい)論」として把握し、口伝と物質化を試みて、レコンキスタ(失地奪還/全てを失った場所で、もう一度たいせつなものをとりもどす)プロジェクトを持続しつつ、95年
NIPAF’95に参加したセルジ.ペイ(仏)のパフォーマンスから受けた印象を展開し、03年より「セルジ.ペイ頌歌シリーズ 」を発表している。2015年7月、韓国水原市にVoid house(なにもない家)を制作した。
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