インディアンフルートの世界〜その入口

文 / 塩津知広

 今回は『ドラムサークル』はちょいとお休みして、なんと『インディアンフルート』なんてモノを紹介します。最近の『ベスト・オブ”ハマりもの”』でございます。

 木製のタテ笛です。指穴は5〜6コ。親指側(構えた時の下側)には指穴はありません。(小学校でだれもが吹いた)リコーダーのように、息を吹き込めば音が出ます。すなおに指を順に開けていけば「ドレミソラ」のペンタトニック(5音階)をだれでもが吹けます(押さえ方の組み合わせでふつうの「ドレミファソラシド」も出せます)。「ピアノの黒鍵だけをむちゃくちゃに弾いてもなんとなくメロディーが出来上がってしまう」あのカンジです。

 そう、どことなくなつかしいあのメロディー。あれが「だれにでも」吹ける、しかも特別な練習ナシに。なんとなく吹いてそれが(いちおう)メロディーとして成立してしまう・・・手にとったその時から自分の”コトバ”を伝える道具として使える・・・これは『ドラムサークル』で使うドラム・パーカッションと同じ、手軽でカンタンでだれにでも音が出せて、そこに感情や気持ちが込めやすい。
 このことから、『ドラムサークル』の「ドラムをインディアンフルートに置き換えた活動」として『インディアンフルートサークル』なるものも存在します。目的は”コミュニケーション”そして”自分自身であることの発見”。『ドラムサークル』のそれと全くいっしょです。

 『ドラムサークル』は、たいてい”打撃音”でそのサウンドが構成されます。また音量もかなりのモノです。エキサイトするとともにリズムもアグレッシブにテンポも速くなっていきます。なので、長くその中に身をさらしていると、とても疲れます(その心地よさを目指してはいますが)。
 インディアンフルートは、その音色は”尺八”に似ています。やわらかくまるみをおびてやさしい。その音に包まれる『インディアンフルートサークル』では、ゆったりとした時間が流れていきます。なつかしいメロディーとあたたかいサウンドでからだもこころも浄化されるようです。

 こころの内を奏でる楽器『インディアンフルート』のサウンドには、だれもが耳を傾けたくなる不思議な魅力があります。それは、吹いている人の”こころの内側”が表現されているからでしょう。生命がそのまま音として奏でられているのです。

 太古のむかし、あるネイティブアメリカンの若者は、好きな娘に自分の想いを伝えられずに悩んでいました。若者が勇者であり良識の持ち主であることをわかっていた精霊は、若者にフルートを与えました。若者がそのフルートを好きな娘に向けて吹くと、娘は求愛を受け入れたのでした。
 こんな伝説があることからもわかるように、インディアンフルートは気持ちと気持ちをつなぐことのできる、とても魅力的な楽器なのです。

 みなさまに、インディアンフルートの響きをお届けすることができる日が待ち遠しい、いつか来る日をたぐり寄せる想いで今日も吹いています。

 拙文、駄文、お読みいただきありがとうございました。

塩津知広 TOMOHIRO SHIOTSU 1965年福岡県北九州市門司区生まれ 長野県長野市在住 音楽講師 
1990~音楽教室講師として活動開始
2006年~「ドラムサークルながの」発足
drumcirclenagano@gmail.com
ドラムサークルながの