ドラムサークルの経験がレッスンを変えていく

文 / 塩津知広

 「ああしてこうしてこれやって」と手取り足取り、次にすることが常に提示される、オウム返しのようにしてその行動をなぞればいい。それが、俗にいう「レッスン」です。

 目的は「(演奏が)上手くなるため」。実にあいまいな目的です。が、人によりその状況はそれぞれ。学園祭ステージでの満足だったり、お気に入りの曲の演奏だったり・・・

 基本的には、「お手本」を示してそれを「マネ」する、そのくり返しが進む時間です。一音一音が(お手本と)同じように再現されるように、そのためのカラダの動かし方や気持ちの持ち方を紐解いていくのです。

 生徒さんに対しては、いわゆる「コピー」を要求します。「同じようにしましょう」と。そうすれば、目的に向けてまた一歩階段を登ることになる、と。

 しかし最近、「全く同じじゃなくたっていいんじゃないか」と思うようになりました。「お手本」を示したそのレスポンスが「ちがったモノ」でもいいんじゃないのか、それがその人なりの反応なら。

 「善光寺へ行く」ということがピンポイントに「本堂の中のご本尊の前に立つ」ということでは必ずしもない、そのように、目的に向かった行動であればその幅は広く認めてもいいだろう(あまりイイ例えではないかな?)。そんな風に思えるようになってきました。

 実は、上越市で行われている「ジャンベレッスン」は、そんな思いが色濃く現れているものだと思っています。アフリカントラディショナルな楽器とリズムの練習ですがガチガチに「マネ(コピー)」を目標としてはいない、という点がそうです。

 何度も書いてきた「経験がなくても大丈夫」というドラムサークルのウェルカムな姿勢、本来「音楽」とはそうあるべきなモノです(もちろん鍛錬の上に得られる満足を否定はしませんが)。

 レッスンとドラムサークル、その二つを「似て非なる活動」と考えて、相反する内包する想いに悶々としていた数年間でしたが、最近は融合しつつ自分の中でミッションとして落ち着きそうな気配です。

 ここに、自身の演奏活動が絡んでくるのですが、それについてはまたいずれ。

 拙文、駄文、お読みいただきありがとうございました。

塩津知広 TOMOHIRO SHIOTSU 1965年福岡県北九州市門司区生まれ 長野県長野市在住 音楽講師 
1990~音楽教室講師として活動開始
2006年~「ドラムサークルながの」発足
drumcirclenagano@gmail.com
ドラムサークルながの