文 / 三船ゆい
白いしなやかな両手が まあるい石を差し出した
一方で、地の底を散歩する
赤い色の池の泡(あぶく)がフツフツと呟く
続けておくれ
続けておくれ
私は泡(あぶく)と対等に話しをする
私には私のすることしか できないんだよ
それが何の事かも解らずに約束だけは
もう してしまっている
そうして欲しいなら・・・
お前の為に生きろ と、
耳で聴いたかしれない 不確実な音のまとまり
それと よく似ている
老いを通り越して しゃがれた女の声は 母親達の後悔の念
そう受け止めて 重苦しいものは
そっと カタチを壊さぬように 蓋も開けずにその場から立ち去る
頭の裏側にも顔が付いていたのか と自覚するほどの対極に
あの優しい手が見える
柔らかに包まれた まあるい石を
私はまた それが何とも解らずに
約束をしてしまっている
三船ゆい Yui MIFUNE 1972年生まれ
長野県山ノ内町在住 主婦
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