新名所旧跡案内 「松代大本営跡」

松代・舞鶴山 参謀本部入居予定壕 現在気象庁地震観測所

松代・舞鶴山 参謀本部入居予定壕 現在気象庁地震観測所


ikedamasato10-02


画像・文 / 池田正人

「国体」を構成する集団(天皇一家、軍人、政府の役人)の避難場所

「万世一系の天皇」と称される天皇制は、672年に壬申の乱で勝利した天武天皇が実質的に権力を掌握し、国を統治した時が最高であった。
以後、藤原一族や徳川軍事独裁政権が政治を支配し、明治に至っては長州グループを中心とした派閥が天皇を「神」に祭り上げ、自分達の意のままに日本を支配した。富国強兵のスローガンのもと日中戦争、太平洋戦争を戦ったが残念ながら米国を中心とした連合軍に惨敗した。

1945年7月26日の米・英・中国(ソ連抜き)が日本に無条件降伏をせまるポツダム宣言に対し、軍官僚、政府官僚たちは「天皇の地位に変更を加えないこと、すなわち『国体護持』を条件にする」ことを求め黙殺したため広島、長崎へ原爆を投下され、ソ連の参戦を許した。
一方、国民は1945年6月に義勇兵役法が施行され、軍も国民も一丸になり「一億総特攻」の掛け声の中、軍や軍需産業に動員されず家庭に残っている者も、男女を問わず国民義勇軍として地下壕への避難ではなく、郷土の警備にあたることになった。

松代大本営跡は日本の「国体」を構成していた集団(天皇一家、軍官僚、政府官僚)を明示してくれる貴重な歴史的な遺産である。世界文化遺産に登録申請してもよいのではないか。

池田正人 Masato Ikeda
1943生れ、長野市在住
八十二文化財団
信州大学大学院地域社会イニシアティブ修了
現在 おぶせ藤岡牧夫美術館・理事
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