わたしが生まれ育った

文 / OZ / 尾頭 / 山口佳祐

わたしが生まれ育った 長野 という土地には
古くから流れ受け継がれる独特な [ 香り ] のようなモノが存在する
それは 物質的な色を持たず
一方で 個々の核となるエネルギーへ色を添える
そういった[ 香り ]は その土地その大地にそれぞれ存在し
その地で生きる人々の文化や文明と言われるカタチとして伝承されてきたが
カタチがより精神的かつエネルギー性を秘めたモノとして存在する時
現代人は特別扱いする傾向が窺える
むかしの日本では より精神性が強く 見えぬカタチに触れることが日常であり
また そこに宿りしモノをカタチとして伝承していた
現在 ここ長野という地で
どれだけの現代人が[ 香り ]に触れて生きているだろうか
むかしの日本と変わらないのは
[ 香り ]には常に表現が存在しているということ
長野で表現を続けるわたしたちにとって
[ 香り ]を持ち 日常として捉えられるような試みは必要なのかもしれない
わたしが初めてFLATFILEを訪れた際
モリヤ氏との会話がリズムをとる中
この場所のこの空間には [ 香り ]が漂っているように感じたのを覚えている
それは 精神性の強い[ 香り ]を持つ表現者が集う場所だからなのか
モリヤ氏の持つ独特な旋律と場所性の融合からなのか
どこから漂っているのか定かではないが
その定かでなく存在することのできる FLATFILEの[ 香り ]が
この空間では既に物語を歩いているようにわたしには感じる
集うことで強調され また 分散することで周囲に漂う   FLATFILEの[ 香り ]
わたしも そして あなたも
既にその物語を歩き始めている

OZ / 尾頭 / 山口佳祐 表現人 絵馬師 長野の山で生まれ育つ
原始循環思想を軸に独自の手法で表現し続ける
2001年より即興性・場の特異性をLivePaintにて追求し続ける中、2011年には大絵馬を描き上げ長野県・武井神社へ奉納し、絵馬師として動き始める