文 / 塩津知広
*(ぜひ、”branching-05″から続けてお読みください)
「主張」とはなんでしょう?「”調和”を乱すモノ」と捉えるから「そこに在ってはいけないモノ」になってしまいます。「別のカタチの”調和”へ変化するチャンス」が出現していると捉えるといかがでしょうか?ドラムサークルは新しいステージへと移り変わることができます。だれもがドラムサークルを導くことができる、そう、出現する音はすべてキッカケ、活かすも殺すもファシリテーターである私次第です。
採り上げて変化を促すこともあれば、そのままにして(決して”無視”ではありません!)全体における”飾り”としておく場合もあります。持続させることで調和状態の強化を狙う、主張してきた音はジャマではなく次の機会まで(←必ず後に提示します)待ってもらう、「今はその時ではない」というメッセージを出せば案外すぐ引っ込んでくれるものです。そして全体は「主張(してきた音)の受け方」を、ひとりひとりは「主張(する音)の出し方」を、探りながらいつしか学んでいきます。
全体の演奏を止めてひとりの音に聴き入る、また全員の演奏に戻る、ひとりの音に寄り添いそれまでとちがった場面に移ることもあれば、それまで続いていた全体の流れを再現する場合もあります。受信と発信、従属と主導、リードとフォロー、その体験をいろんなカタチで促します。ドラムサークルの全員が「”自分”対”みんな”」を強く意識していく、そのプロセスを繰り返しながら「主張しながらも全体を支える」エンパワーメントに気づき始めることでしょう。
ここまでくれば、私の仕事は「飽きないようにする」ことに尽きます(前出の”次の機会”はここで提示することが多いです)。でも、介入をし過ぎるとまた「”私”対”みなさん全員”」に戻ってしまいます。あくまでも「変化を欲しがっている」兆しが感じられた時のみです。リズムを提示したり、指揮者のように振る舞ったり、楽器を持ち替えてもらったり、それができるのはここまでドラムサークルが”成長”できた時です。
私に「どうやって楽しませてくれるの?」と期待を向けてたのがドラムサークル前半、この段階では、いつしか自分からどんどん楽しみ方を探して産みだしていくことを続けています(探し産みだすことそのものが楽しくてタマらなく鳴ってる状態です)。自分が全体に与える影響に気づいた時、もう「してもらう」ひとりの参加者ではなく、ドラムサークルを能動的に進めていくファシリテーターになっていくのです。
次回は、ファシリテーターがやってる「指揮者のような振る舞い」を、クローズアップしてみましょう。一番目立つところですね。お楽しみに。
拙文、駄文、お読みいただきありがとうございました。
塩津知広 TOMOHIRO SHIOTSU 1965年福岡県北九州市門司区生まれ 長野県長野市在住 音楽講師
1990~音楽教室講師として活動開始
2006年~「ドラムサークルながの」発足
drumcirclenagano@gmail.com
ドラムサークルながの
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