始まり 洞窟から出ると決めた人々

文 / 川合朋郎

 夜空を見上げながら考えた。この広い宇宙のどこかに我々の住む地球と同じように生命を宿した星が存在するのだろうか?
我が家の屋根の雨樋は落ち葉の掃除をしないせいで大雨の日にはいつも喧しく雨垂れの音を響かせる。この音に起こされて便所へ行く途中、廊下から見下ろす池の水面では無数の泡ができては消えるのを繰り返している。この池が宇宙だとすれば、そこに生まれては消える泡は宇宙に浮かぶ無数の星か。その様子を眺めていると地球外生命体に出会える可能性は無いのだと気づかされる。宇宙のもつ途方も無い時間と距離によって地球外生命体との接触を阻まれた地球は天涯孤独のようだ。
 小さな細胞が形を変えながら成長し、やがて意志を持ち、運動し思考し、喜び悲しみ、悩みを生み出す不思議。はじめは何も無かったところに勝手に生まれて勝手に死んでいく。何の為かはわからない。
 庭は青い朝の空気に包まれている。

始まり 洞窟から出ると決めた人々 油彩/ キャンバス56x76.5cm

始まり 洞窟から出ると決めた人々 油彩/ キャンバス56×76.5cm


川合朋郎 Tomoro Kawai / 1976~ Born in Osaka,Japan 
静岡県三島在住 画家
東京芸術大学卒
tomorokawai.com