文 / 疋田義明
アスファルトの凸凹として灰色掛かったその上に、ぽつりと映える薄い緑のカマキリがいました。陽のあたるアスファルトの地面の上、カマキリはひたひたと歩いていました。
カマキリの目の前に腕を下ろしますと、カマキリはひたひたと腕を登りました。カマキリの緑色は陽の光に柔らかく輝いていましたので、ぶっきらぼうなアスファルトの凸凹のなかにあることに僕はひやひや思いました。カマキリはここにいては危ないと思いましてカマキリを草地に運ぼうと腕を動かしますと、ひょいっとカマキリはまた灰色の地面に飛び降りていきました。
その時の僕の腕を蹴るカマキリの足の感触がかすかですが妙に生々しく肌にしみついていたことに後になって気が付くのでした。
疋田義明 Yoshiaki Hikita
1992年長野市生まれ
画家(無職)
2015年武蔵野美術大学油絵学科卒業
za486ztch4vc7v7mm6cu@dokomo.ne.jp
2015 8/22~10/25 D15 @FFS_lounge gallery
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